ヤバいヤバい

 何か年取ると、どうにもヤバいなあと思うところがあって、そのひとつに、明らかに他人がゲンナリしたり、「ウゲー」と思うのがわかってて、そういう類の発言をしてしまうというのがある。中高年のおじさんが、しょーもないダジャレを言ったり、下品な下ネタを言ったりとかそういうの。私が若いときは臆面もなくよくそんなことできるなあ、と理解しがたかったのだけれど、なんか今なら私にも余裕で出来るし、むしろそういう言動をして周囲をドン引きさせたいみたいな衝動に駆られて仕方が無いことがある。で、ターゲットがどうしても一緒に暮らしている妻になってしまって申し訳ない。

 妻が「大人用のピタゴラスイッチが放送されるらしいよ」みたいなことを言ったので、お父さんの(下半身の)スイッチがどうのこうのとか無意識のうちに喋りだしたみたいで、私自身驚いてしまった。いくら十年経った夫婦だからって、こんな恥ずかしいこと言っちゃダメだろう。しかし、私の中に妻のゲンナリした顔を見たいという歪んだ欲望というのもあるかも知れない。

 子育てに追われるようになってから特に妻は私へのロマンチックな愛情を失いましたキャンペーン実施中なんだけれども、この間、夕食にカレーを作ってくれて、皿の中に見ようによっては辛うじていびつなハート型に見えなくも無いといった形のジャガイモが入っていたのを無理矢理発見して(まあ殆どの人にはハート型には見えない)、「このハート型は今夜はOKってサインだよね?」などといやらしい笑顔で尋ねたところ、なんと「気持ち悪っ」と言って、スプーンでそのジャガイモを粉々に砕かれてしまった。このように、妻のリアクションがいつも徹底しているので、なかなかやめられないというのもある。