いつも駐車場でうろうろ

 こちらのショッピングモールの駐車場はスケールが大きすぎて、いつもどこに車を駐車したのかわからなくなって困る。荷物が多くてカートを押しているときなどは本当につらい。俺の車どこ! どこなのよ! いや、待て落ち着け。確か木のそばに停めた…ていうか、何本もあるやん! あ! あった! …近くでよう見たら違う…と軽いパニック状態。私の車はキーレスでロックを開閉すると軽くクラクションが鳴る仕組みになっているので、音で探査しようと、たしかここだったな、というあたりで解錠ボタンを押してみるんだけど、目視できないときには、そのあたりには無い事が多い。まあ基本的に方向音痴なんでしょう。

 こんな時妻が居てくれたらキッチリ覚えててくれるだろう。「ちょっと! どこ行くん!?」私は、お店を出て駐車場所に向かう時には決まって間違った方向に歩きだす。「あんたが覚えててくれるからとりあえず歩きだしたんやけど?」「場所がわからんのに私より先、歩いてどうすんのよ…」こうして軌道修正してくれるから、とりあえず歩き出してしまうのである。初めて妻とデートした時にも駐車場のどこに車を停めたのかわからなくなってさんざん歩かせた挙句に、駐車券もどこかに落してなくしてしまうと失態を演じたのだった。

 はたち前後だったら、「スマートに彼女をエスコート出来ないとNG」みたいなデートマニュアルから逸脱したことに気が動転してしまって、状況をリカバリーできずにデートのムードを悪くしてしまったかもしれないが、20代も後半になりいい具合に大人の落ち着きが身についていた頃だったので、「あれーごめんなさいね…」と冷静さを失う事もなく、軽く事態を収拾したのであった。大人になるって悪くないね! しかし、妻はその時、普通に「なんと頼りのない男だろう」と思ったそうである。