何かいろいろ

 所属医局の年報みたいなのがあって、新入局者の抱負(奴隷宣言)や、どっかのおっさん医局員がナントカ病院の部長になったとかで、そのどうでもいい感じのあいさつを載せる冊子があるんだけど、とうとう、留学記を書いてくれという依頼が秘書さんからメールで来た。

 どうも私のことは医局の中でしばらく忘れられていたようで、なんかの拍子に医局員名簿の留学中の欄からも私の名前が消えていて、こりゃとうとう忘れられたわ、しめしめ、とか思っていた。大体、留学して1年くらいで書くんだけれど、もうすぐ3年が経つので、もう来ないだろうと思っていたらとうとう来た。で、書きたいかというと書きたくない。

 大体こういうのは、「留学させていただいた医局の先生がたのおかげです」みたいなの端々ににじませながら書かないといけないので、そういうのはずいぶん、普段使わない筋肉を使って書くひつようがあってすごくしんどい。日本での勤務医生活と比べて、アメリカの研究生活は、お金の心配が無ければとても気楽なんだけれど、あんまり楽しそうに書くのもなんか気が引ける。何とか面白い文章を書きたいのだけれど、バランスが難しい。ああ、当たり障りのないように書こう。そうしよう。

 で、妻の妊娠の件なんだけれど、予定日を超えても陣痛が起こらないので、あした病院で誘発するんだって。7時に病院に来いとの事。あした、13日の金曜日だよ。私も生まれた月はちがうけど、13日の金曜日生まれなのです。今度は娘です。無事に生まれるといいなと思います。そわそわしています。外国なので不安です。

世の中の流れ早い

 日本語のポータルサイトから読み物をあさる(時間の無駄だけどとても楽しい)より英語の勉強のために、英語のニュースサイトを読むようにしてみた。デミ・ムーアが離婚するって言うから、ブルース・ウィリスと別れるのかと思ってよく読むと、だいぶ前にアシュトン・カッチャーとかいう見たこと無いイケメンと結婚していたらしくて驚いた。妻に尋ねると、「あんただいぶ古いな、誰でも知ってるで」。じゃ、じゃあ、パトリック・スウェイジはどうしてるんだよ、と尋ねると2年前に癌で死んだらしい。なにこれ切ない。関係ないけど妻は今妊娠33週です。

プロポーズの件につきまして

 ラボに私に付いて仕事を助けてくれる学生さんがいるんだけど、名前をアレックスと言ってウクライナ由来のアメリカ人なんです。2歳の時に両親と渡米したらしい。彼は今21か22くらいのはずなのに、先日、二つ年上の女性と結婚した。そんで、新居、といっても大学院生用のアパート、に私ら家族を夕食に招いてくれたので、ありがたく行ってきた。

 相手は19の時にウクライナから来たヴェラと言う綺麗な娘さんで、UCSD のメディカルスクールに入学したばかりのスマートな女性である。さすがウクライナには美人が多いという評判は本当なのだと実感した。アレックスは将来メディカルスクールに行きたいので、こうしてラボで実験などを手伝って履歴書に磨きをかけようと頑張っている。しかし、奥さんが先に医者になって、いつまでもアレックスが医学部に入れないでいると、あっさり捨てられるのではないかと心配になる。ラボの実験はテキトーにして机に向かってガリガリ勉強して欲しいところ。

 まあ、私らは英語があんまり出来ないし、人と付き合うの苦手なので、たいそう疲れて帰ってきて、直後に二人とも風邪を引いてしまったのだが、いろんな話をしてくれてまあ楽しかった。二人は出会って半年で結婚を決めて、プロポーズのために、アレックスはスノーモービルを借りてスキー場の上まで彼女を連れて行って、そこで「結婚してくれへん?」をやったらしい。さすがロシア方面から来た連中だと感心してしまった。ティモシー・ダルトンがボンドをやった「リビングデイライツ」を連想した。それにしても大学生でそのリア充ぶりはすごい。

 それを聞いて私が妻にしたプロポーズのことを思い出して、激しく後悔した。私らも付き合って半年くらいで結婚することにしたんだけど、当時デートで一緒に酒を飲んで酔うと、互いにわけがわからなくなってよく大喧嘩したりしていた。その時は、泊りがけで奥飛騨の温泉に行って、その時にどこかのタイミングでプロポーズしようとしていたら(←まず、こういう計画が杜撰なところがダメ)、当然うまくいかなくて、夕食のときもお互い酔って、大喧嘩になって、結婚しようと言うどころじゃなくて、結局大阪に帰ってきて、晩御飯を食べて、また酒を飲んで酔って、私のアパートに向かって、病院の裏の道路を歩いていたときにも、なんかの理由で言い争いになって、「結婚して欲しい」が計画通り言えなかったので、むしゃくしゃしていた私は、つい「だから! 俺は! あんたと結婚したいって言うてんの!」とか何とか言ってしまって、わ、しまったという状況になって、「まあ、その大事な問題やからちょっと考えといて…」と言って送って帰ろうとしたら、妻が「いや、ちょっと待って、ええよ。するよ」とか言う感じでかなりグダグダになってしまった。そんで、「結婚しようか。そうしよう!アハハハ…」みたいな事になって今に至る。

 傷つくのが怖い私なので、相手が結婚適齢期だった事、当時は私の事を十分好いてくれていた(と思う)事、の2点の理由から、十分これは勝てるという、いやらしい自信があった。だからこそ、もう少し余裕を持ってハートフルな演出をするべきだった。まあもう手遅れだけれど、自分が不甲斐ない。許せない。こういう横着な所が本当にだらしない。当然、妻によると私のプロポーズは0点である。そんで、今、もう一回結婚してくれというと、断られる可能性が高い。

 いや、あの頃が懐かしい。今では信じられないが、妻は「私の事どれくらい好き?」とか「私を納得させる答えが用意できないとだめ」などとのたまってのだけれど、今現在、「ところでさ、俺のことどんくらい愛してんの?」とか尋ねると、「死ね」と真顔で答える。妻は事あるごとに夫としての私を返品したいと言う。それに対して、私はめげずに「まあ、新しい俺が再度配達されるだけやけどな…」と返している。「ああ、結婚生活リセットしたい。リセットボタン押したい」の訴えに、「まあ、リセットした瞬間から再度俺との新しい結婚生活が始まるだけやけどな…」と気力を振り絞って返している。何これ死にたい。

連休の始まりですよ

 今、金曜の夕方6時半なんだけども、ラボでまだダラダラ実験してる。気づいたら同じフロアで働いてる連中がもうほとんどいなくなっててすごい寂しい。大体、なんかアメリカにはリア充体質の人が多いのかどうか、金曜の夜には早く帰る人が多いんだけれど、明日から3連休なので、そういえばもっと早くから人がだいぶ居なくなってた。お前らほんまに皆予定があんのかと問い正したい。大して理由もないのに早く帰っとるだけちゃうんかと。私は今一人暮らしだし、全く予定が無いので早く帰る理由も無いにもかかわらず、おいていかれた感が半端なくて辛く悲しい気持ちになってくる。この早く帰宅するウェーブに乗り遅れている自分が惨めに思える。6月なんかは夜8時まで明るかったのに、だんだん日が短くなってきて、それも憂鬱な気持ちを増幅させる。まあ、帰ってもお酒を飲んでねる以外にすることは特に無いのだけれど。あ、そうそう昨日大変なことがあった。ノートパソコンでネットをしながらイカの塩辛をつまみにビールを飲んでたんだけど、缶に手を引っ掛けてキーボードにビールを相当量こぼしてしまったんだった。初めてしでかしたことなので、かなりびっくりした。壊したと思った。25万を稼ぐにはどれだけ当直しなきゃいけないかを頭が計算し始めた。しかし、何か壊れてしまった感はなく、なんか普通に動いてる。携帯をトイレに落としたのとはまた違うようだった。できるだけビールをふき取って、キーボードのキーを一個一個取り外して、綿棒でできるだけ拭い取ったが、まあ、ビールくさいわ。「何をしとるんやろう」と思いながらむなしい作業を酔った状態で小一時間続けたのだった。今はキーボードにサランラップが巻かれている。ところで、最近、Facebookにリクエストしてくれる高校の同級生とかがいて、「元気?」というメッセージになんて答えたらいいか悩む。「元気だよ。そっちは?」と聞くと、また何かメッセージを送られても面倒なので、「元気だよ。そっちも元気そうだね!」で統一している。たまに「なんか知らんけどお前ハゲ散らかしとるやないか!」みたいな人もいる。

気がついたら8月終わってた

 もう9月になってしまった。妻と子供が帰ってくるまであとさらに2週間。今回が一番長い。来週は何かのワークショップにボスのお供で、何とインドについて行くことになっている。インドには行ったことがないので、楽しみなような、しかし片道24時間とずいぶん遠いのでかなり面倒くさいような… サンディエゴに戻ってくるのが9日の金曜日で翌日にはLAに妻子をむかえに行く予定になっている。ちょうど今、ラボのパソコンで全米オープンを見ている同僚がいて、数人が集まってみている。私に知っているテニス選手がいるかと聞いてくる。私はスポーツ関係の知識が乏しいのだけど、マッケンローとかナブラチロワだったら知ってるというと、「うわ、君、古いな!」と笑われてしまった。

日本でのすごし方

 息子らは帰国中は妻の実家でお世話になるのですが、同い年のいとこが近くに住んでいるので家の中は毎日お祭り騒ぎだそうです。おばあちゃんも最初は良く帰ってきたねというらしいですが、一月もすると早く帰ってほしくなるそうです。お世話になってすいません。これは昨年の写真です。子供ってすぐ障子破る。私も覚えがある。破るだけじゃなくて筆ペンで「お前は今夜死ぬ」って書いたらすごい怒られた。弟は壁に銀色のマジックで「ぎん」って書いてた。あとシールを貼ったね壁に。あれマジで剥がれない。無理にやると薄皮が剥げてえらいことになる。そんで指でこするんだけど、まあ汚いまま残る。

次のを買うか悩む

 もともと半分くらい見てたんだけれど、この週末でフレンズの 1st season を全部見てしまった。あーしまった。やると思ってたけど、次にすることが無くなってしまった。FFとかのゲームだったらたぶんぶっ通しでやってたと思う。一人暮らしやばい。繰り返して見て英語の聞き取りをするか、くらいに考えていたのに続きが見たい。「24」の続きが見たくなるのと同じ終わり方。次のシーズンを買うか悩む。少しずつ買い足すよりも10シーズン全部を100ドルちょっとで買ったほうが安い。ああでもなあ、なんつっても10シーズンて尋常じゃない量だよ。ああ悩む。

 唐突に夏らしい事がしたくなり、一年ぶりにサーフィンに行った。「マルセルの夏」とか「菊次郎の夏」とか、「○○の夏」的な夏の過ごし方をしたいと思った。どっちも見てないからどんなもんか知らんけど、とにかくそんな気分だった。一時期続けて通っていたが、サーフィンはちっとも上手くなってない。何しろボードを持ってうろうろしたりするのが面倒くさい。あと、からだが濡れるのも面倒くさい。サーフィンはどうでも良くて海に入りたいだけなので、サンダルと水着で行けば良いのだけれど、水が冷たい→ウェットスーツがあったほうがいいかも→ウェットスーツだけで海に入るのは不自然→ボードも持って行こう、と考えた。海は良いですよ。海は。何しろデカい。私は海辺の町に育ったので、いろいろ思い出す。

 毎年7月に私の銀行口座から医局に同窓会費1万円が自動引き落としされている。それはまあいい。今年は4万円が勝手に引き落とされている。来年、うちの大学がホントに心の底からくだらないと思う学会の主幹になるので3万円を上乗せしたそうです。まあ、いきなり4万円が自動引き落としされたら驚く。普通に、えっ?って思う。電気、ガス代だったら覚悟してるから驚かない。4万円てね。また私、例によって新手の詐欺かどうかと思って、5分くらい思いを巡らしたくらい。まあそれと固定資産税とかビビるね。毎年毎年、引き落とされるのが分かってても、なかなか慣れない。引き落とされた明細を見るとその度にビビるね。うっわやられた、って毎回思う。時が止まる。正直、見たくない。口座の明細はほんと見たくない。