あり難く教わる事にした

 明日このラボで初めて使う予定の顕微鏡のさわりかたを教わった。英語で込み入った内容の話をするのはあまり気が進まなかったので、簡単なマニュアルのまとめをコピーしたかっただけだったのに、エフィー(ギリシャ出身の大学院生)が今からちょうど実験するから教えてやる、というので二時間みっちり個人指導を受けるはめになった。反射的に、今からちょっと忙しいから…と断わるというオプションも頭をよぎったけれども、アウェーで戦う良い機会だと考えてあり難く教えてもらうことにした。英語の説明は、耳が慣れてきたせい&専門用語が多いので、わかるところは多いのだけれど、やっぱりわからないところはわからない。それにすごく訛っている。いちいち聞き返しては先に進まないので、雰囲気でもわかれば相槌打ってもいいだろうというガイドラインに従って、それらしい相槌を打ってしまう。時々、この細胞動いてると思う? フォーカスあってる? という不意打ちの質問があり、そのたびに少し慌てる。彼女が何を言ってるのか理解できないモードに突入した時には、私の顔をものすごい眼力でじーっと見ながら話す彼女の顔を見ながら、なんという彫りの深い顔だろうか…という関係のない事ばかりが頭に浮かんでくる。