もう何が何だかわからないけども見守ってる状況

 毎日見てるのでなかなか変化に気付かないのだけども、妻のお腹がかなり大きくなってきてる。どっからどう見てもあからさまな妊婦。今6ヶ月目くらいなんだって。うわー。あらためてみるとかなりポッコリ…

 こないだ、電車の中でとなりの若い男性が、奥さんの妊娠についてとなりの男と喋ってる。「最近の医者はすぐ(お腹を)切って出そうとするらしいですわ…よくよく見張っとかないと…」夫に何ができるわけでもないし、医療提供者として聴くと「何を〜!」と思ってしまうのだけれど、まあ、心配になる気持ちはわからないでもない。

 自分の体にメスが入ることを想像するとかなり嫌だ。整形外科の手術では、私も仕方なく患者さんの体にメスを入れるのだけれど、私自身はできるだけ手術など受けたくない。もはや大の大人なので必要があれば相当我慢するけれど、痛いのは本当に苦痛だし、健康診断の採血も嫌だし、点滴の留置針など絶対入れられたくない。「とにかく注射打ってくれ」と入ってくる患者さんには驚く。骨折の手術など死んでも嫌なので、怪我をしないように心がけているし、乗ってはみたいけどバイクの免許はあきらめている。

 気付いたことといえば、何か最近、妻がやさしい。あんまり怒らない。

 こないだは大阪市内で渋滞に巻き込まれて、相当イライラして奇声を上げたり、妻に当り散らしたりしたのだけれど(なんて夫だろう)喧嘩にならなかった。帰りが遅くても、土日が実験や抄読会やミーティングの準備でつぶれてしまっても文句を言わない。何か悟りを開いたような顔をしてる。

 そんな和らいだ顔を見て義理の母親は、「顔つきが優しいからお腹の中の子は女の子だろう」と言う。先月の定期検査では、産科の先生に「性別を見てみましょうか?」と言われたそうだけど、断わったそうだ。理由は①なんとなく聞くのが怖かったのと、②産科の先生の髪の毛が皮脂でペットリしてて忙しさを物語っていたらしいので、「いいです…」と言っちゃったらしい。そういうところが私とよく似てて、だから結婚してるのかもと思ったりした。

 バイトの病院では、患者さんが途切れると年配の看護師さんや子供のいる看護師さんが、私のところに来て、「奥さん順調?」から始まって延々と私の子の時は…と語り始める。そして彼女たちは相当盛り上がるので、読もうと思ってた論文が読めなかったり。彼女らはただ自分の話をしたいだけなんだけども、笑顔で語るおばさん連中は、まあそんなに悪くないと思ったりする。だから、割と話に付き合ってしまっている。

  そんで、時々お腹の中で動いてるらしい。手を当ててみろといわれるけども、当てても全然わからない。耳を当ててみたけど、動いてるかどうか私にはわからない。あと、お腹の子が聞いてる可能性があるから、汚い言葉を使うなとか言われる。だから我が家では「死ね」とか「チンカス野郎」などは禁句とした。でも時々、使ってしまう。だけどもよく考えたら、子供は小さい間は、チンコとかシッコとか言うとすごく喜ぶ。だからあんまり関係ないような気がする。