ヤバいヤバい

 何か年取ると、どうにもヤバいなあと思うところがあって、そのひとつに、明らかに他人がゲンナリしたり、「ウゲー」と思うのがわかってて、そういう類の発言をしてしまうというのがある。中高年のおじさんが、しょーもないダジャレを言ったり、下品な下ネタを言ったりとかそういうの。私が若いときは臆面もなくよくそんなことできるなあ、と理解しがたかったのだけれど、なんか今なら私にも余裕で出来るし、むしろそういう言動をして周囲をドン引きさせたいみたいな衝動に駆られて仕方が無いことがある。で、ターゲットがどうしても一緒に暮らしている妻になってしまって申し訳ない。

 妻が「大人用のピタゴラスイッチが放送されるらしいよ」みたいなことを言ったので、お父さんの(下半身の)スイッチがどうのこうのとか無意識のうちに喋りだしたみたいで、私自身驚いてしまった。いくら十年経った夫婦だからって、こんな恥ずかしいこと言っちゃダメだろう。しかし、私の中に妻のゲンナリした顔を見たいという歪んだ欲望というのもあるかも知れない。

 子育てに追われるようになってから特に妻は私へのロマンチックな愛情を失いましたキャンペーン実施中なんだけれども、この間、夕食にカレーを作ってくれて、皿の中に見ようによっては辛うじていびつなハート型に見えなくも無いといった形のジャガイモが入っていたのを無理矢理発見して(まあ殆どの人にはハート型には見えない)、「このハート型は今夜はOKってサインだよね?」などといやらしい笑顔で尋ねたところ、なんと「気持ち悪っ」と言って、スプーンでそのジャガイモを粉々に砕かれてしまった。このように、妻のリアクションがいつも徹底しているので、なかなかやめられないというのもある。

iPhone買ったけど、すごい

 ついに私もハイテク機器に手を出すことにしてiPhone5を買った。かたくなに普通の通話のみ端末を使っていたんだけれど(カパってひらくいかにも旧式なヤツ)、まあみんな持ってるしそろそろ触ってみないとやばいと思ったのです。いやこれはすごい。LTEクソ早い。超便利。で、そろそろ一通り触って緩やかに飽きてきたところです。

 でも、買うときはがんばった。発売日に近くのアップルストアに昼ごろ行ったら、整理券を配ってて並んだら買えそうだったんで、3時間近く仕事サボって並んで待ちました。何を躊躇していたかというと2年間の契約の縛りがあって中途解約すると、違約金が発生するからですが、なんか留学して3年が過ぎて、この先どうなるのかあまりに不透明すぎるので、逆にあんまり先のことを考えるのを最近、つとめてやめるようにしたので、まあ、どうでもいいし、欲しかったら買おうよ? 的な考えに至ったのです。Kindleもずーっと前から欲しかったので、思い切って買った。もう知らん。

 これで私の愛する妻とメッセージ(imessageと言うらしい)の送りっこしているのですが、なんかあんまり愛されてないっぽいです。Taeちゃん…

夏と言えばGBですよね。

 ずいぶん間が開きましたが、まだしつこくサンディエゴにいます。たぶんあと一年くらいいます。例によって妻子は日本です。7月頭から8月25日までとこれまでで最長。そろそろ寂しくなって来ております。

 私は積極的には利用してないのだけれど、知り合いのfacebookの投稿はよく見てて、地元の高校の同級生などは8月6日には原爆関連の事を投稿していました。原爆ドームの写真とともに「戦後67年、今後伝えて行くのは私たちの世代なんでしょうね...」とか、「慰霊祭の中継をほぼ全部のテレビ局で生放送しているのは地元だけだと知って驚いた」とか、「はだしのゲンがどこやらでネットでみれるよー」とか。

 私も8月といえばまあ原爆ですかね。8と6の並びを見ただけで、あの朝の雰囲気が蘇る。8時すぎといえば、まあ蒸し暑くてはっきり言って不快だけれども、まだ本格的に暑くなるちょっと前で、黙祷するとしずかになるので、うるさい蝉の声がダイレクトに耳に入ってくるわけですよ。ああ、この瞬間に原爆が落ちて来たんだな...とどんな小さな子供でも自分の身に起こったらどうなるかと想像してしまう。町の公民館からはサイレンがなるし、学校に上がってから、というか物心ついたときから私の地元ではとりわけ特別な日なのでした。

 地元を出てから、私たちが受けて来た平和教育といったらかなり大げさだけれども、恐ろしい事がおこった記憶というのを決して忘れてはいけない、世代を超えて伝え続けなければならない、という教えには、他府県出身の人々とはひどい温度差があるんだなーということに気づいた。以前の職場の上司に「日本人には水に流す、っていう文化があるから日本人は原爆の事も水に流したんだよ」みたいな事を訳知り顔で言われたときには、郷土愛は希薄だしあの田舎がとにかくイヤで外の大学に出て行ってろくに家に帰らなかった私だというのに、ちょっと情けなくて泣きそうになりました。

 まあ、こういう人も8月の頭だけでいいから広島でホームステイしてみると、「あーやっぱり水に流してないんだ、ていうか水に流すとかそういうレベルの話じゃなかった」って考え方も変わるんだと思う。戦勝国を声高に非難したり、だれのせいかと詮索するのではなく、とにかく「もうとにかくこんな恐ろしいもん落としたらいけんよ? わかったじゃろ?」というのが、広島の人たちが言いたい事なわけですよ。主張を単純明快に一本に絞っているわけで、決して届きにくい主張ではない。死没者慰霊碑の「あやまちは繰り返しませぬから」にはそう言う願いが凝縮されています。

 まあ、核兵器だけじゃなくて、最近は核を使わなくても効率よく大量の人間を殺戮可能な兵器もガンガン開発されているとは思うし、中東のほうではそれで死んでる人間も多いのだろうけれども、まあそれでも、とにかく恐ろしい事やめろよ、と訴え続けるより他ないわけで。で、まあそれはそれとして、東北や福島の人々のように、当事者の心の機微というのは、他の地方の人間からするといまいちわかってなくて、そのつもりはなくても逆撫でしてしまう事もあるのだと思うので、これを他山の石として気をつけたい。

3年経ちました

 まだしつこくSan Diegoにいます。こないだ生まれた娘は3ヶ月になった。4才の息子も大きくなった。ある日、息子がゆりかごに入ってる娘の頭を撫でながら「わんわん…、ぼくはやさしい犬だよ?」などとコソコソ話しているのを聞いてしまった。赤ちゃんに何吹きこんでるの! またべつの日に公園に息子を連れて行くと、向こうから息子の名前を呼びながら走ってくる男の子がいる。ジョーイという幼稚園のクラスメイトだった。「ハーイ! ジョーイー!」と挨拶しながら、私に日本語で「ジョーイってこんな顔やったっけ?」と小声で尋ねてきた。ジョーイは友達なんでしょ?

2月なんだが

 娘が生まれて一ヶ月なんだが、やっぱり一人目と比べると注目度や新鮮みはちょっと少なくて申し訳ない気分である。数字で言うと、5パーセントくらいしかない。まあまだ赤ちゃんだからあまり見てても代わり映えしないし、もうちょっと大きくなって個性が出てくると感じも変わってくるかもしれないので、とにかくはやく大きくなって欲しい。2歳くらいになったらおしゃべりも出来るようになって楽しいのじゃないだろうか。それにしても、この差は申し訳ないよ。二人目の子よ。

 ていうか、息子もまだまだ手がかかるので、私は息子担当と言う感じで忙しいというのもある。だんだん悪戯の程度がひどくなっているし、しつこい。まあ私も子供のころはこんな子供だったので、よくわかる。それにしても、やっぱり娘と比べると大きくなっている。娘の頭はグレープフルーツくらいしかないが、息子のはもうメロンくらいでかい。いつのまに大きくなったのか怖い。私のイメージではまだ赤ちゃんだったのに。もうほとんど少年だよ。

 義理の母親が出産前からアメリカに来てくれていて、かれこれ2ヶ月になるんだけど、さすがにそろそろ帰りたい気分が最高潮に達している。今月末にようやく帰る予定になっている。彼女が来る前は、家事を手伝ったりは当たり前だったけれど、婿にやらせるわけには行かないとか何とかで、妻だけでなく、私も上げ膳据え膳状態で申し訳ない。ただひたすら申し訳ない。ただ、下品な話が出来ないし、裸でウロウロできないので、私は私で窮屈を感じている。後、空気が悪いとかなんとかでやたら窓を開けるので寒いし、まぶしいのかどうかすぐに電灯を消して部屋を薄暗くするし、よく聞こえないのかいつもテレビの音量が大きい。それはそれとして、ほんとに申し訳ない。

あかちゃん生まれた

 おかげさまで1月13日に女の子が生まれた。子供は予定日を過ぎたので誘発して生まれた。7時に入院して8時半からオキシトシンが始まり14時にはあっさり出てきた。10時頃に硬膜外を入れてくれたので、今回はとても楽そうだった。前回は地獄だった。私自身は、赤ちゃんが出てくる様子、つまり、あまりにリアル過ぎるものをかなり本気で見たくなかったので、出産時は前回と同様に邪魔にならないように、妻の頭側に立って傍観者に徹するつもりだったのに、足を持たされたり、会陰を指してここを切っていいか? とか、ハサミを渡されて臍の緒を切ってみ? とか言われて大変だった。で、出産後48時間で退院した。赤ちゃんは2655グラムで生まれ、今は元気にお乳を飲んでいる。

 4つの息子が寂しがってはいけないと思ったので、息子といつも以上に遊んでやることにした。幸い週末だったので、近くの公園で自転車に乗せて出かけていった。息子が補助輪をはずして乗りたいと言うので、お前、そんなの無理やからやめとけって、と却下したが、大丈夫やから、とやたらうるさいのでレンチではずしてやった。2,3回こけて懲りるかと思ったが、なんと、驚いたことに、乗れた。ハンドルにブレーキがついておらず、ペダルを逆に踏むと後輪にロックがかかるタイプなので、最初は止まれずに公園の植え込みに思いきりダイブして、通行人の度肝を抜いていたが、しまいには乗りこなしてしまった。サーカスで小猿が自転車に乗ってるような感じ。父ちゃん、なんか知らんけど感動したよ。